不安神経症の方との接し方は?家庭や職場での接し方や、治療法について解説!
ご家族や職場の仲間に不安神経症の方がいる場合、接し方が分からないと悩む方は少なくありません。
不安神経症の方に対する家庭や職場での接し方や、治療法などについて解説します。
不安神経症とは?
不安神経症は、生活の中で誰もが感じる不安や恐怖を慢性的に感じてしまう症状です。
不安神経症の症状や原因について解説します。
不安神経症の症状
不安神経症とは、明確な理由がないにも関わらず、日常生活に支障をきたすほどの不安や恐怖を感じる神経症です。
不安神経症は、下記のような症状に分類されます。
限局性恐怖症
限局性恐怖症では、特定の対象や状況に限り、強い恐怖や不安を感じます。
症状は半年以上も続き、恐怖や不安の対象となるものを避けようとし、日常生活が送りにくくなっていきます。
特に小児、若い世代、女性に多い症状であるといわれています。
限局性恐怖症では、以下のような症状が訴えられます。
・高所恐怖症
・閉所恐怖症
・先端恐怖症
・犬や猫、蜘蛛や蛇などの動物恐怖症
地震や雷、洪水などの天災や、血液、怪我、注射、冷房、暗い場所など、恐怖の対象は人により様々です。
それらを想像するだけでも恐ろしくなり、パニックに陥ることもあります。
パニック症
パニック症では、突然動悸や呼吸困難などの発作(パニック発作)が起こり、強い不安や恐怖を感じます。
電車に乗ることや、学校・会社へ行くなどの発作が起きそうな状況を避けるようになり、日常生活が送りにくくなります。
パニック症の方には以下のような症状があり、「またパニック発作が起きるのでは」という予期不安があります。
・心臓がどきどきする
・胸が苦しい
・過呼吸
・発汗
・めまい
・食欲不振
・吐き気
・体の震え
・血の気が引く感じがする
・おかしくなりそうな恐怖に襲われる
広場恐怖症
広場恐怖症では、すぐに脱出することが困難であったり、具合が悪くなっても助けを求めることが難しいような場所や状況に置かれることに強い不安を感じます。
症状が表れる頻度が高い不安症の一つであり、男性より女性に多いとされています。
多くの場合、不安感とともにパニック発作を引き起こし、悪化すると引きこもりにつながることもあります。
広場恐怖症の方が苦痛を感じやすい状況には、以下のような場所が挙げられます。
・電車やバス、飛行機などの公共の乗り物
・急行電車や満員電車
・駅の雑踏
・映画館や劇場
・美容室のような閉鎖された場所
・デパートやスーパーなどの人が多い場所
・橋の上やトンネルの中
全般不安症
全般不安症では、日常生活で普通ならさほど気にならないような些細な事柄が心配になり、常に緊張してリラックスできない状態が続きます。
慢性的・持続的な不安状態であり、たとえば「自分が病気になるのではないか」「子供が事故に遭うのではないか」などという広範囲にわたる不安に悩まされます。
その他にも、持続的な不眠や頭痛、胸部の圧迫感などの症状が訴えられます。
不安神経症の原因
不安神経症の原因は解明されていませんが、ストレスなどが原因であると考えられています。
具体的な原因の有力な説は、下記の3つです。
- 心理的な要因
- 社会的な要因
- 脳の機能障害
脳内では幸せホルモンと呼ばれているセロトニンが分泌されており、ストレスを軽減し、精神を安定させる役割を持っています。
不安神経症を発症するのは、セロトニンの働きが弱まり、不安や恐怖を感じやすくなるためだと考えられています。
また、過去のトラウマやストレスを感じた出来事などを思い出し、不安や恐怖を誘発してしまうというのも有力な説の一つです。
育った環境や家庭によって、同じ状況でもストレスの感じ方が異なるというのも、周りと自分を比べて不安な状態に陥ってしまう原因です。
特に思春期に発症することが多く、甘えだと捉えて神経症を見逃してしまうケースもあります。
不安神経症になりやすい人の特徴
森田療法を生み出した森田正馬は、神経質な性格の人が不安神経症になりやすいと提唱しています。
具体的には、下記のような特徴があります。
- 内向的で自己内省的
- 心配性で傷つきやすい
- 完璧主義・負けず嫌い
強気な面と弱気な面を併せ持つ性格は、小さなことを気にしてしまう弱気な自分を許せずに、葛藤しやすいタイプだと考えられています。
困難に見舞われたときに敏感に反応してしまい、不安や恐怖はあってはならないものと考えたり、完璧な安心を求める性格も、不安神経症になりやすい人の特徴です。
不安神経症の方との接し方は?
周りに不安神経症の方がいる場合、どのように接すれば良いのでしょうか。
家庭や職場での接し方について解説します。
話を聞いて症状の辛さを理解する
不安神経症の方は、不安や恐怖などの症状に苦しんでいる上に、周りには理解されないだろうと1人で抱え込んでいる場合もあります。
まずは、どのような症状があり、どれくらい辛いのか、じっくりと話を聞くことが大切です。
その際に、特殊な思い込みや、他の人からみれば当たり前だったり大げさすぎるように思える話を耳にするかもしれませんが、否定せずに黙って最後まで話を聞きましょう。
心療内科や精神科の受診には抵抗がある方もいるため、強要はせずにタイミングを見て相談すると良いでしょう。
症状に応じて休息・活動を促す
不安神経症の改善にはもちろん休息も必要ですが、状況に応じて活動を促すことも大切です。
うつ病やパニック障害などの症状が重いものでも、休息ばかりではなく、徐々に活動していくことで良い効果が見られるケースがあります。
不安神経症の治療に有効だといわれている森田療法でも、休息期間は1週間ほどで、その後は積極的に活動を促していきます。
症状を抱えながらも、普段通りの生活が送れるように、うまく切り替えていくことが重要なのです。
干渉のしすぎに注意する
不安神経症の方に対する干渉のしすぎは、お互いにとってデメリットが大きくなる場合があります。
症状を改善するために熱心に関わろうとすると、かえって過干渉になり、本人が負担に感じてしまう恐れがあります。
さらに、関わっているほうも、なかなか症状が改善しないことに対してストレスを感じてしまうでしょう。
不安神経症の方と適切な距離を置くことで、お互いにストレスを軽減できます。
本人のペースを尊重しながら、適度に関わっていくと良いでしょう。
不安神経症の方の職場での対応
職場に不安神経症の方がいる場合、どう対応すれば良いかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
職場での不安神経症の方に対する接し方について解説します。
相談しやすい雰囲気をつくる
不安神経症の方が安心して働くためには、上司や同僚に相談しやすい雰囲気をつくることが大切です。
職場によっては相談室や医務室が設けられている場合がありますが、利用しづらいと感じる方も少なくありません。
不安神経症の方が相談できる機会を作るためにも、上司が定期的にヒアリングをしたり、同僚と話しやすい雰囲気をつくりましょう。
そうすることで、すでに不安神経症を患っている方だけでなく、職場全体の働きやすさにつながることが期待できます。
復職後にどのようにすべきか話し合う
不安神経症の原因として、人間関係や過重労働によるストレス、神経質な性格などが挙げられます。
不安神経症の方が職場に復帰する際は、仕事量や労働時間などをどのようにすべきか話し合うことが大切です。
復職後は以前より仕事量を減らしたり、出勤日数や稼働時間を考慮するなど、不安神経症の方になるべく負担がかからないようにすると良いでしょう。
不安神経症の主な治療法
不安神経症を治すには、どのような治療法があるのでしょうか。
精神療法と薬物療法について解説します。
森田療法などの精神療法
不安神経症の治療には、精神療法が有効であるといわれています。
精神療法には、不安や恐怖の原因に直面させる「暴露療法」や、不安を感じやすい認知の歪みを改善していく「認知療法」などがあります。
また、精神療法の一つである「森田療法」も不安神経症の改善に効果が期待できるといわれています。
症状が重い場合は入院療法、そうでない場合は外来療法で治療をします。
入院療法では、下記4つのステップで社会復帰を目指します。
- 心身を休めながら自分のとらわれや不安と向き合う
- 一人で簡単な作業
- グループでの作業
- 社会復帰
一方で、外来療法は日記指導が中心の治療法です。
その日の行動を日記に記載し、不安や感情を自分なりに受け止めていこうとする態度を助長します。
どの精神療法が適切なのかは人により異なるため、医師に相談するようにしましょう。
その他、自助グループとして、森田療法を学びながら、神経症からの克服を支援する「生活の発見会」があります。
薬物療法
不安神経症の原因の一つとして、脳の神経伝達物質であるセロトニンの異常が挙げられます。
セロトニンの働きが弱まると、不安や恐怖を感じやすくなる恐れがあります。
そのため、セロトニンの働きを活発化させることに有効なお薬が用いられるのです。
お薬については必ず医師からの指示を受け、正しく服用しましょう。
不安神経症は再発する?
不安神経症を一度克服しても、再発する可能性はあるのでしょうか。
不安神経症が再発する確率や、再発させないためにできることをご紹介します。
不安神経症が再発する確率
不安神経症が再発する可能性は否定できません。
例えば、パニック症が治った方でも、何かのきっかけで数年後に突然発作を起こしてしまうケースがあります。
環境の変化や人それぞれの性格も関係しているため、ストレスや不安を感じる場面に直面したときに再発することもあり得るのです。
不安神経症を再発させないためにできること
不安神経症を再発させないためには、なるべくストレスを減らすことが大切ですが、日常生活の中から全てのストレスを排除することは困難です。
そこで、ストレスを感じたときや症状が再び表れたときに、治療で身につけた乗り越え方を実践するように意識しましょう。
不安の元となるストレスを自分の力で対処できるようになれば、不安神経症の再発を防止できる可能性が高まります。
また、一度克服した経験がある方であれば、どう考えてどう行動すれば良いか理解しているため、その都度対処していくこともできるでしょう。
そのためにも、精神療法を学び常に頭の中に置いておくことは重要です。
多数の方々の援助で不安神経症が治ったという方の体験談
不安神経症でお悩みの方の中には、治らないのではないかという不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。
そこで、多数の方々の援助で不安神経症が治ったという方の体験談をご紹介します。
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不安神経症の一つであるパニック症に悩まされたというこちらの方は、公共の乗り物や閉ざされた場所で感じる恐怖心を、当初は薬物療法で乗り越えていたそうです。
しかし、症状は次第に時と場所を選ばずに表れるようになります。
そのような状況を変えたのが、同じ症状に悩む方と交流したり、森田療法について学ことができる生活の発見会です。
森田療法を知り実際に学ぼうと行動したことが、症状を克服し、以前よりも前向きに生きるきっかけになったと言えるでしょう。
不安神経症でお悩みの方は生活の発見会へ!
同じように神経症などに悩んでいる人や、悩みを克服した人と一緒に森田療法を学んだり、つながりを持つことができる自助グループが「生活の発見会」です。
「生活の発見会」について説明します。
生活の発見会とは?
「生活の発見会」とは、森田療法を学びながら、神経症からの克服を支援するメンタルヘルスの自助グループです。
1970年に発足し、1998年には第50回保健文化賞を受賞、2005年には特定非営利活動法人として東京都より認定されています。
神経症に悩める方に森田療法について学ぶ機会と、共感と理解に基づく安心の場を提供し、人間的な成長を目指すというビジョンを掲げています。
森田療法でより良い生活を目指していくという考えに共感する方なら、誰でも参加することができます。
再発の予防、備えとして、薬物療法と並行して新たに森田療法を学ぶことをおすすめします。
生活の発見会の活動
「生活の発見会」では集談会や、月刊誌の発行、基準型学習会などさまざまな活動を行っています。
集談会では、全国約130ヶ所の会場で「交流会&学習会」を毎月開催し、実際に神経症を乗り越えてきた人が中心になって交流を行っています。
月刊誌は、会員や医師が寄稿した記事などを掲載した、会員ならだれでも参加できる双方向の機関誌です。
このように会員同士での相互啓発や学習、実践経験を会員間で共有していくことで、人間的な成長を目指しています。
その他にも、初心者向けの懇談会、大勢が集まる場所は行きづらい方むけの個人相談、医師も交えての心の健康セミナー、オンライン学習会などさまざまな活動を行っています。
お悩みの方はまずは初心者懇談会や個人相談(有料)へ!
「生活の発見会」は誰でも参加することができます。
心のお悩みを抱えている方は、まずは初心者懇談会や個人相談へのご参加はいかがでしょうか。
初心者懇談会は、会のことを知りたいという方や、入会して間もない方むけに、東京、大阪、福岡、オンラインで実施しています。
また、個人相談は、東京都の本部での面談や、電話での相談も可能です。
気軽に参加できるので、ぜひご検討ください。
まとめ
不安神経症の方への接し方や、治療法などについて解説しました。
まずは否定せずにじっくりと話を聞き、症状に応じて休息と活動を促していくことが大切です。
お互いにストレスを溜めないよう、干渉しすぎずに適度な距離で接していくことも必要でしょう。
もし、神経症に悩んでいる方が周りにいる場合は、「生活の発見会」がおすすめです。
気になる方はぜひ下記フォームからお問い合わせをしてみてください。
また、自分が神経症かもしれないと悩んでいる方は、下記のセルフチェックシートで自身の症状をチェックしてみましょう。