対人恐怖症(社交不安障害)とは?治った体験談をご紹介! 症状や原因、治療法についても解説!


対人恐怖症(社交不安障害)は、人に対する不安、恐怖などが強くあらわれる状態です。
あがり症ともいわれる対人恐怖症(社交不安障害)で悩んでいる人は少なくありません。

このコラムでは、対人恐怖症(社交不安障害)の症状や原因や治療法を解説します。
また対人恐怖症(社交不安障害)が治った体験談も紹介します。

対人恐怖症(社交不安障害)とは?

対人恐怖症(社交不安障害)とは、社会生活で、人に対して誰もが感じる不安や恐怖を極端に強く感じてしまう症状です。

対人恐怖症(社交不安障害)の人は、極度に強い不安を感じ、人と接することを避けたり、負担になるほどの恐怖感を感じたりします。

対人恐怖症(社交不安障害)の症状とは

対人恐怖症(社交不安障害)の症状は具体的には以下のようなものがあります。

・自分の言動や見た目がほかの人の目に変に見えるのではないかと思う
・異常に緊張してドキドキする
・体や声の震え、発汗、赤面、吐き気、動悸、腹痛、めまい、呼吸困難
・他人が自分を笑っていると感じる
・他人が自分を嫌っていると感じる
・他人が人を馬鹿にしていると感じる
・会話中に目を合わせられない
・言葉が出てこないなど平常心で対応できない
・自分はダメな人間だ、必要とされていないのではないか、評価が下がるのではないかと焦りを感じる
・他人の評価が気になる
・新しい環境になじめない
・人の輪に溶け込めない
・その場にいられない、逃げ出したくなる

対人恐怖症(社交不安障害)があらわれやすい場面

対人恐怖症(社交不安障害)は、生まれつき内気な性格だった人にあらわれることがあります。
また、思春期、就職など環境の変化をきっかけにあらわれることがあります。

対人恐怖症(社交不安障害)の症状はさまざまな場面であらわれます。

・スピーチやプレゼンなど大勢の前で発表する
・一対一で話す
・人の前で署名する
・初対面の人と会う
・面接や試験など結果を残さなくてはいけない場面
・世間話や雑談の場面
・重要な相手と会う
・PTAや地域のつき合いで親しくない人と話す
・進学、就職、転職など新しい環境に入る

対人恐怖症(社交不安障害)の原因

対人恐怖症(社交不安障害)にはいくつかの原因が考えられます。

元々の性格が原因になることがある。

生まれ持った気質が敏感で、色々なことが気になりやすく、その一方で自分の弱点を克服したい性格である場合、対人恐怖症(社交不安障害)の症状で悩みやすくなります。

初対面の相手や、学校、職場、サークルなど同じ集団に所属する他人に対して、状況によって緊張したり不安を感じることを多くの人が経験します。

このような、誰もが感じることがある緊張や不安について、対人恐怖症(社交不安障害)の症状に悩む人は、自分だけが他の人よりも緊張や不安を強く感じているに違いないと思い込み、そのことが劣等感に感じられ、弱い自分であってはいけないと悩んでしまいます。

自信を失くした体験が原因になることがある

対人恐怖症(社交不安障害)になる原因の一つに、自信を失くす体験をしたという場合があります。

例えば、学校で声の震えや赤面でからかわれたり、いじめを受けたり、あるいは、家庭での厳しいしつけによって精神的打撃を受けたことがきっかけで人に対して強い恐怖感を持つようになることがあります。

人が自分に向ける言動や態度の原因は、自分に問題があるからだと考えて、人は自分のことを変だと思っているのではないかと常に心配して緊張している状態になります。

このように過去の体験によって対人緊張の症状が常態化すると、進学先や就職先などの対人的な場面でも人に対して不安や緊張を強く感じてしまいます。

周囲の目に自分がどう映るか心配でたまらなくなり、授業や発表、会議やプレゼンなど対人緊張を感じる場面を避けてしまうようになります。

その結果、必要な経験を積むことができず、それに反比例して対人緊張を強めてしまう悪循環に陥ってしまいます。

環境の変化が原因になることがある

対人恐怖症(社交不安障害)になる原因の一つに、環境の変化を体験した場合があります。

人は年齢を重ねながら、それぞれの年代で環境の変化を体験します。

進級、進学、就職、結婚、出産、昇進、転居、異動、転職、失業、離婚、退職、病気、天災、事故、事件、身内や大切な人やペットの死、等、人生は様々な変化の連続です。

それらの変化に対応しなくてはならない時、多くの人は戸惑い、不安を感じます。

この変化に上手く対応できるだろうか、対応できないのではないかという不安から精神的緊張を感じます。

そして、人間は、環境の変化に適応しようとして、筋肉の緊張など全身に反応が起きるといわれます。

したがって、変化が起きた時に不安になり、心と体が緊張することは、人間の当然の反応といえます。

しかし、人によっては、何事にも熱心で負けず嫌いであったり、自分の本音より周囲のために頑張りすぎたり、自分のできていないことに注意が向きやすい、などの性格であるために、心身の緊張を良くないことと受け止めてしまう場合があります。

そのような場合、不安や緊張を排除しなくては、と焦ることによってますます不安や緊張を強く意識してしまいます。

その結果、心の状態や体調に敏感になり、周囲に対する不安や緊張を強めて対人緊張の状態に陥ることがあります。

考え方のクセが原因になることがある

対人恐怖症(社交不安障害)の原因の一つが、考え方のクセである場合があります。

人間なら、時と場合によっては人に対して不安や緊張を感じることがあるのは正常な現象です。でも、対人緊張に悩む人は、不安や緊張を感じる自分は異常だと極端に考えてしまうところがあります。

対人恐怖症(社交不安障害)に悩む人は、物事についてこうでなければならない、という硬直した考え方をするクセがあります。
こんな時もあればあんな時もある、という柔軟性のある考え方が苦手です。
こうでなければならないという考え方は、べき思考とか白黒思考とか完璧主義ともいわれます。

こうした考え方のクセがあるために、人に対する不安や緊張を感じたときに、誰にでも起こる不安や緊張をあってはならないものとして排除しようと焦ってしまい、その結果、ますます人に対する不安や緊張を強めてしまいます。

対人恐怖症(社交不安障害)になりやすい人の特徴

対人恐怖症(社交不安障害)で悩む人には特徴がみられます。

対人恐怖症(社交不安障害)に悩むのは現代人だけでなく、100年前の日本にも赤面恐怖症や対人恐怖症に悩む人が多くいました。
それらの悩みに対して、独自の精神療法を編み出したのが森田正馬でした。

森田療法を生み出した森田正馬は、神経質な性格の人が不安や緊張を人一倍強く感じ、症状にとらわれやすいと提唱しています。

具体的には、下記のような特徴があります。

・内向的で自己内省的
・心配性で傷つきやすい
・完璧主義・負けず嫌い

強気な面と弱気な面を併せ持つ性格は、小さなことをきにしてしまう弱気な自分を許せずに、葛藤しやすいタイプだと考えられています。

困難に見舞われたときに敏感に反応してしまい、不安や恐怖はあってはならないものと考えたり、完璧な安心を求める性格も、対人緊張に悩みやすい人の特徴です。

対人恐怖症(社交不安障害)が治ったという方の体験談

日常生活に支障を来すほどの人に対する不安や緊張を感じる対人緊張は、治せない症状ではありません。

実際に森田療法で対人恐怖症(社交不安障害)が治ったという方の体験談をご紹介します。

自己受容の道(T・Uさん・37歳・主婦)
私は場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)のような極端な人見知りで、自分からはほとんど口を利かない子でした。
対人能力に劣等感を抱き、高校時代には激しい衆前恐怖になりました。
森田療法を知り20年数年経った今、根強かった劣等感は小さくなり、なくならないと思っていた対人緊張もなくなりました。
仕事やプライベートでの経験や、発見会で積極的に活動してきた事実の積み重ねが、こんな自分でもやれるという自己評価につながったのだと思います。

体験記一覧はこちら

対人緊張に悩んでいたこちらの体験者は、人づき合いが上手なことだけが、人間として価値のあることで、人づき合いが苦手な自分は人間として価値がないという思い込みから、人に対して強い緊張感を抱いてしまっていたようです。
森田療法を学ぶことで、このままの自分でやっていくしかないんだというような諦めがついたと対人緊張の悩みからの回復を実感されています。

対人恐怖症(社交不安障害)の主な治療法

対人恐怖症(社交不安障害)を治すには、どのような治療法があるのでしょうか。
薬物療法と精神療法について解説します。

薬物療法

薬物療法では、不安を和らげる効果のある薬剤を用います。

服用することで不安を軽減させ、必要な行動がしやすくなるための手助けをします。

薬による治療で改善が感じられないときには、精神療法を検討します。

森田療法などの精神療法


対人恐怖症(社交不安障害)の治療には、精神療法が有効であるといわれています。

精神療法には、不安や恐怖の原因に直面させる「暴露療法」や、不安を感じやすい認知の歪みを改善していく「認知療法」などがあります。

また、精神療法の一つである「森田療法」も対人恐怖症(社交不安障害)の改善に効果が期待できるといわれています。
症状が重い場合は入院療法、そうでない場合は外来療法で治療をします。

入院療法では、下記4つのステップで社会復帰を目指します。

1. 心身を休めながら自分のとらわれや不安と向き合う
2. 一人で簡単な作業
3. グループでの作業
4. 社会復帰

一方で、外来療法は日記指導が中心の治療法です。
その日の行動を日記に記載し、不安や感情を自分なりに受け止めていこうとする態度を助長します。
どの精神療法が適切なのかは人により異なるため、医師に相談するようにしましょう。

その他、自助グループとして、森田療法を学びながら、神経症からの克服を支援する「生活の発見会」があります。
対人恐怖症(社交不安障害)でお悩みの方は生活の発見会へ!

同じように神経症などに悩んでいる人や、悩みを克服した人と一緒に森田療法を学んだり、つながりを持つことができる自助グループが「生活の発見会」です。

生活の発見会とは?

「生活の発見会」とは、森田療法を学びながら、神経症からの克服を支援するメンタルヘルスの自助グループです。

1970年に発足し、1998年には第50回保健文化賞を受賞、2005年には特定非営利活動法人として東京都より認定されています。

神経症に悩める方に森田療法について学ぶ機会と、共感と理解に基づく安心の場を提供し、人間的な成長を目指すというビジョンを掲げています。

森田療法でより良い生活を目指していくという考えに共感する方なら、誰でも参加することができます。
「生活の発見会」では集談会や、月刊誌の発行、基準型学習会など様々な活動を行っています。

集談会では、全国約130ヶ所の会場で「交流会&学習会」を毎月開催し、実際に神経症を乗り越えてきた人が中心になって交流を行っています。

その他にも、初心者向けの懇談会、大勢が集まる場所は行きづらい方むけの個人相談、医師も交えての心の健康セミナー、オンライン学習会などさまざまな活動を行っています。

お悩みの方は個人相談(有料)へ!
個人相談は、東京都の本部での面談や、電話での相談も可能です。
気軽に参加できるので、ぜひご検討ください。

まとめ

対人恐怖症(社交不安障害)が治った体験談と原因、症状、治療法などについて解説しました。
対人恐怖症(社交不安障害)は、人に対する不安や緊張を慢性的に感じ、日常に支障を来してしまう症状です。
実際に森田療法で症状を克服した方もいらっしゃるため、決して治せない症状ではありません。

もし、神経症に悩んでいる方が周りにいる場合は、「生活の発見会」がおすすめです。

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