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強迫性障害(強迫症)とは?治った体験談をご紹介!症状や原因、治療法についても解説!

不安感の悩みの中に、繰り返しある行為をしないと不安でたまらないという症状に悩む場合があります。
例えば、手が汚れた感じがして繰り返し洗い続ける、鍵やガス栓を閉めたか不安で繰り返し確認する、不安感を消すために何かの行為や考えごとを繰り返すなどの症状です。
そのような症状は強迫性障害(強迫症)と呼ばれています。

繰り返し行わずにいられない行為を強迫行為といい、繰り返し浮かぶ考えを強迫観念といいます。
強迫行為や強迫観念を繰り返すことで時間がかかってしまい、へとへとに疲れて日常生活の仕事や勉強がおろそかになることがあります。また、不安を消すために家族など身近な人を強迫行為に巻き込んでしまうこともあります。

強迫行為や強迫観念の繰り返しに多くの時間を使うことで生活に大きな支障が現れてしまうため、強迫性障害(強迫症)に困っていて、よくなる方法を切実に探し求めている本人やその家族の人が相当数いることが考えられます。

このコラムでは、強迫性障害(強迫症)の症状や原因や治療法を解説します。
また強迫性障害(強迫症)が治った体験談も紹介します。

強迫性障害(強迫症)とは?

強迫性障害(強迫症)とは、強迫観念の強迫行為のどちらか、あるいは、両方を必ずともなう症状です。
強迫観念とは、不快な考え、イメージや衝動が頭の中に繰り返し浮かんでくることをいいます。
強迫行為とは、強迫観念によって生じる不安や苦痛を和らげるために手洗いや確認などを繰り返す行動です。

これらの症状に対して、ばかばかしさや無意味さの感覚があるほど、定型的な強迫性障害(強迫症)といえます。

強迫観念もしくは強迫行為によって、1日に1時間以上にわたる時間を浪費し、社会生活や職業に支障が出てしまうものが強迫性障害(強迫症)です。

強迫性障害(強迫症)の具体例

強迫観念は、どんな人の頭にもよぎる嫌な考えやイメージが症状に発展したものであり、その内容は多岐にわたります。

強迫性障害(強迫症)の症状は無数にありますが、具体例として、以下のような症状があります。

・不完全恐怖
物事に万全を期したい、あるいは完璧を目指したい気持ちが強い状態で、多くの場合に「不安を打ち消すために何回も確認をしてしまう」という確認の強迫行為を伴う。家族や身近な人にも確認を求める場合もある。

・縁起恐怖
不吉な考えが浮かんでくるたびにそれを打ち消すための儀式的な行為をしなくてはならない。

・加害恐怖
「車で人を轢いてしまったのではないか」「すれ違いざまに人を刺してしまうのではないか」など、他者に危害を加える観念が起きる。
・自殺恐怖
自殺してしまうのではないかと不安でたまらなくなる。

・殺人恐怖
人を殺してしまったのではないかと不安になって悩む。

・精神病恐怖
気がちがってしまうのではないか、精神病になるのではないかと恐れる。

・計算癖
無意味に電柱の数などを数える癖。

・確認強迫行為
「戸締りをしたか、火の元を消したか不安で何回も確認してしまう」、「職場を退出する際、施錠をしたか不安になり何回も施錠を確認する」、「大事なものを落としたのではないかと、戻って確認に行ってしまう」。

・不潔恐怖
「公衆トイレの便座は誰が使ったのかわからないため、使用をためらう」、「目に見えない菌や汚れが気になる」。

・洗浄強迫行為
「トイレを済ませた後で、尿や便で手が汚れていると思い、手洗いを繰り返す」、「外出先から帰宅後、外から菌を持ち込んだのではと不安に思い、入浴に何時間もかけてしまう」

強迫性障害(強迫症)の原因

強迫性障害(強迫症)にはいくつかの原因が考えられます。

人は、一生のうちで何度も環境の変化を経験したり、年齢に応じて体の変化が起きてきます。その変化に柔軟に対応できれば問題なく過ごせますが、人によっては心のバランスをくずすことは少なくありません。

変化を乗り越えなければという気持ちから不安が生まれ、頑張りすぎて重荷になってしまうことがあります。

様々な変化が起きると、その時の状況によっては一時的な反応として、不安や緊張、焦りを感じてしまうことは多くの人が経験します。

しかし、このような不安や緊張、焦りなどを、人間の当然の反応として受け止めず、自分に問題があるために不安になってしまうのだと自分について否定的に思い悩む場合があります。このように思い悩む背景には、人はどんな状況でも不安のない万全な状態でいなければならないという考えがあります。

そのような考えが強いと、変化という状況の中で現実の必要な行動にエネルギーを費やすかわりに、不安のないスッキリとした気分を得ることにエネルギーを費やすようになります。

しかし、現実には、不安が全くない心理状態は得ようとして得られるものではありません。にもかかわらず、不安を完全になくしてスッキリとした気分を得ようと、不安を呼び起こす強迫観念を打ち消すために様々な方法をエンドレスに行う行為が強迫行為といえます。

強迫性障害(強迫症)になりやすい人の特徴

強迫性障害(強迫症)で悩む人には特徴がみられます。

強迫性障害(強迫症)では、不安を呼び起こす強迫観念が浮かび、強迫観念を打ち消そうとして強迫行為を繰り返します。
不安や恐怖といった不快な感情は誰にとっても嫌なものですが、同時にそれらは生きている限り避けられない自然な感情でもあります。
しかし、強迫性障害(強迫症)に陥る人は、完全でありたい欲求が強いためにこうした不快な感情を排除してから物事に取り組もうとします。その姿勢がかえって不安や恐怖を意識してそれにとらわれる状態を作り出してしまいます。

強迫性障害(強迫症)に悩むのは現代人だけでなく、100年前の日本にも強迫性障害(強迫症)の症状に悩む人が多くいました。
それらの悩みに対して、独自の精神療法を編み出したのが森田正馬でした。

森田療法を生み出した森田正馬は、神経質な性格の人が不安や緊張を人一倍強く感じ、症状にとらわれやすいと提唱しています。

具体的には、下記のような特徴があります。

・内向的で自己内省的
・心配性で傷つきやすい
・完璧主義・負けず嫌い

強気な面と弱気な面を併せ持つ性格は、小さなことをきにしてしまう弱気な自分を許せずに、葛藤しやすいタイプだと考えられています。

困難に見舞われたときに敏感に反応してしまい、不安や恐怖はあってはならないものと考えたり、完璧な安心を求める性格も、強迫性障害(強迫症)に悩みやすい人の特徴です。

強迫性障害(強迫症)が治ったという方の体験談

日常生活に支障を来すほどのたまらない不安を感じる強迫性障害(強迫症)は、治せない症状ではありません。

実際に森田療法で強迫性障害(強迫症)が治ったという方の体験談をご紹介します。

確認癖(確認恐怖)でも夢をはたせた! (N・Hさん・女性・会社員)

私が強迫神経症になったのは、二番目の娘を出産後、頼りにしていた義姉がくも膜下出血で倒れ、育児ノイローゼになったのがきっかけでした。なぜ強迫神経症になったかというと、まず神経質性格だったこと、そして完全主義だったことです。さらに、父には甘やかされ、母は過干渉で、自立心が育ちませんでした。
発見会に入会して23年たちますが、「入会したころと、何が変わったか」というと、確認するとき、人に迷惑をかけているということを「自覚している」ことです。
私は、ほんとうは「自分自身が、どう思うか」が大事なのに、それをしないで、まわりの人に「これで間違いないか」と何回も確認して相手から嫌われる、そんな生き方をしていました。
亡くなった両親と自分を受け入れてくれた生泉会の仲間のおかげで、ここまでやってこられました。「人に確認する」症状を持ちながらでも夢をはたせたし、少しは自分を客観視できるようになってきたので、今は生活に充実感と幸せを感じています。

体験記一覧はこちら

強迫性障害(強迫症)に悩んでいたこちらの体験者は、森田療法の自助グループでありのままの自分を受け入れられた安心感から、自分の生き方を見つめ直すことができたという事です。

強迫性障害(強迫症)の主な治療法

強迫性障害(強迫症)を治すには、どのような治療法があるのでしょうか。
薬物療法と精神療法について解説します。

薬物療法

薬物療法では、不安を和らげる効果のある薬剤を用います。

服用することで不安を軽減させ、必要な行動がしやすくなるための手助けをします。
薬による治療で改善が感じられないときには、精神療法を検討します。

森田療法などの精神療法

強迫性障害(強迫症)の治療には、精神療法が有効であるといわれています。

精神療法には、不安や恐怖の原因に直面させる「暴露療法」や、不安を感じやすい認知の歪みを改善していく「認知療法」などがあります。

また、精神療法の一つである「森田療法」も強迫性障害(強迫症)の改善に効果が期待できるといわれています。
症状が重い場合は入院療法、そうでない場合は外来療法で治療をします。

入院療法では、下記4つのステップで社会復帰を目指します。

1. 心身を休めながら自分のとらわれや不安と向き合う
2. 一人で簡単な作業
3. グループでの作業
4. 社会復帰

一方で、外来療法は日記指導が中心の治療法です。
その日の行動を日記に記載し、不安や感情を自分なりに受け止めていこうとする態度を助長します。
どの精神療法が適切なのかは人により異なるため、医師に相談するようにしましょう。

その他、自助グループとして、森田療法を学びながら、神経症からの克服を支援する「生活の発見会」があります。

強迫性障害(強迫症)でお悩みの方は生活の発見会へ!

生活の発見会とは?

「生活の発見会」とは、森田療法を学びながら、神経症からの克服を支援するメンタルヘルスの自助グループです。

1970年に発足し、1998年には第50回保健文化賞を受賞、2005年には特定非営利活動法人として東京都より認定されています。

神経症に悩める方に森田療法について学ぶ機会と、共感と理解に基づく安心の場を提供し、人間的な成長を目指すというビジョンを掲げています。
森田療法でより良い生活を目指していくという考えに共感する方なら、誰でも参加することができます。
「生活の発見会」では集談会や、月刊誌の発行、基準型学習会など様々な活動を行っています。

集談会では、全国約130ヶ所の会場で「交流会&学習会」を毎月開催し、実際に神経症を乗り越えてきた人が中心になって交流を行っています。

その他にも、初心者向けの懇談会、大勢が集まる場所は行きづらい方むけの個人相談、医師も交えての心の健康セミナー、オンライン学習会などさまざまな活動を行っています。

お悩みの方は個人相談(有料)へ!
個人相談は、東京都の本部での面談や、電話での相談も可能です。
気軽に参加できるので、ぜひご検討ください。

まとめ

強迫症(強迫性障害)が治った体験談と原因、症状、治療法などについて解説しました。
強迫症(強迫性障害)は、繰り返しある行為をしないと不安でたまらないという症状です。強迫行為や強迫観念を繰り返すことで時間がかかってしまい、また、不安を消すために家族など身近な人を強迫行為に巻き込んでしまう場合もあるなど日常生活に支障を来してしまう症状です。

しかし、実際に森田療法で症状を克服した方もいらっしゃるため、決して治せない症状ではありません。
もし、強迫症(強迫性障害)に悩んでいる方が周りにいる場合は、
「生活の発見会」がおすすめです。

生活の発見会HPはこちら
生活の発見会お問い合わせフォーム

参考文献
実践 森田療法 北西憲二 講談社
メンタルニュースNo38 館野歩
よくわかる森田療法 中村敬 主婦の友社
新時代の森田療法 慈恵医大森田療法センター 白揚社