森田療法とは?自分で実践できる?森田療法のやり方や「あるがまま」の姿勢について解説!
強迫性障害や社会不安障害、パニック障害などの神経症の治療を目的として創始された森田療法は、患者さんが「あるがまま」の心の姿勢を獲得することを目標として治療を行います。
こちらの記事では森田療法はどんな治療方法なのか、また「あるがまま」とはどんな姿勢なのかなど、詳しく解説していきます。
そもそも森田療法とは?
森田療法とは、精神科医である森田正馬が生み出した神経症に対する独自の治療方法です。
神経症は心の障害の1つで、心の状態から心身に障害がでる症状を指します。
具体的には、 必要ないとわかっていても何度も手を洗ってしまうといった「強迫性障害」、多くの人がいる場所や人前で話すことへの恐怖を覚える「社会不安障害」、特定の状況ではなく突発的に不安と恐怖を感じる「パニック障害」などが神経症にあたります。
そんな神経症を対象として発案された森田療法について、詳しく解説します。
森田療法の歴史
森田療法は、1919年に森田正馬によって考案されました。
森田自身も幼少期から死への恐怖による、心臓神経症やパニック障害を抱えており、自身がそういった症状を克服した経験をヒントに考案されたと言われています。
森田は1903年に東京帝国大学を卒業したあと、精神医学についての研究を行い、神経症の治療方法として催眠療法や安静療法などの治療方法を試みたものの、根本からの解決には至りませんでした。
しかし、森田は欧米で行われていた治療法に独自の試行錯誤を重ね、次第に実際の患者に症状の改善が見られ、その方法を体系化したものが森田療法の原型となりました。
その後、森田は後進の指導にあたり、全国で弟子たちが森田療法を用いた治療を行い、全国的に森田療法を用いる病院が増えていきました。
また、森田の著書は英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、韓国語に翻訳され、今では世界的にも広がっています。
森田療法の考え方
森田療法では、強迫性障害、社会不安障害、パニック障害といった神経症を発症する人は、共通の性格傾向として、内向的、過敏、完璧主義、自己内省的といった神経質な性格を持っていることが多いと考えています。
神経質な性格の方は、大したことのない不安でもそれを取り除こうとして、かえってその不安のことをより考えてしまい、不安が増強されてしまうという経験をしたことがあるのではないでしょうか。
森田療法では心の不安を異常なものとして取り除くのではなく、誰にでもある自然な感情として受け入れるという考え方をしています。
また、その不安は「健康でいたい」「出世をしたい」などの、よりよく生きたいという生の欲望の裏返しととらえるため、より強い不安の裏にはより強い生の欲望があると考えています。
病気の不安に対する裏には、健康でありたいという欲求が存在するように、不安と生の欲望は表裏一体であり、その事実を認め本来の欲求に乗ってなすべきことをなしていくという自分らしい生き方を実現させていくというのが森田療法の考え方です。
森田療法のやり方は?具体的な治療法を解説
森田療法のやり方は、「入院療法」と「外来療法」に分けられます。
以前は入院療法がほとんどでしたが、現在は入院先が確保できないなどの理由で、通院による外来療法が増えてきています。
それぞれのやり方について、詳しく解説していきます。
入院療法のやり方
入院療法は、症状が重度な方や、長期の治療が必要な方にむけた治療法です。
第1期〜第4期までの過程で社会復帰を目指します。
第1期では、食事や洗面、トイレ以外の時間を横になって過ごし、不安な気持ちや症状を「あるがままのもの」として受け入れるようにします。
第2期は軽作業期と呼ばれ、自発的に軽い仕事を行う時期です。
主治医との個人面談を行いながら、不安や作業への疑問を抱えたまま行動するよう指導されます。
第3期は重作業期と呼ばれ、他の患者さんとの共同作業をするようになります。
動物の世話や園芸、料理など、さまざまな作業を経験することで、達成感を得ることが目的です。
そして第4期では、いよいよ社会復帰への準備を行います。
外出や外泊をしながら社会に慣れ、院内からの通学や通勤を許可される場合もあります。
外来療法のやり方
外来療法では、日記指導による治療が中心です。
また、「生活の発見会」などの、森田療法の自助グループが開く集団学習会に参加する場合もあります。
日記指導では、毎日の行動を記録する際に、その時の感情や気分に流されないよう指導されます。
日記をもとに、面談で達成できたことや課題を共有し、新しい目標を設定します。
これを繰り返すことにより、自らを見つめる機会を増やし、不安や感情を受け止める姿勢づくりをすることが目的です。
森田療法はどこで受けられる?
森田療法を受けられる場所は、精神科や心療内科、精神神経科などです。
ただし、すべての医療機関で森田療法が行われているわけではないため、事前に調べておくことが必要です。
また、森田療法について学びたいという方は、自助グループである「生活の発見会」の集談会に参加することもおすすめします。
森田療法は自分で実践できる?
森田療法は、自分だけで実践するものではなく、医療機関や自助グループからのサポートが必要です。
実際に「生活の発見会」で森田療法を学び、実践した方の体験談をご紹介します。
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どちらの方も、生活の発見会の集談会に参加したことで、症状を克服しています。
森田療法は自分で行うものではなく、体験者のように周りの力を借りる必要性があると言えるでしょう。
森田療法における「あるがまま」とは
一般的に「あるがまま」には自然体や、何もしないでそのままといった意味合いがありますが、森田療法の「あるがまま」の姿勢とは、不安を自然な感情として受け入れ、同時に不安の片面の欲求(生の欲望)に従って建設的な行動をする姿勢のことを指します。
神経症の患者は、自分の「こうあるべき」という考えと、失敗してはいけないという意識への「とらわれ」があります。
この「とらわれ」から脱するために、何にとらわれているのかを明確化したうえで、それを許容し、いかに良く生きるかという生きる欲望にしたがって「あるがまま」の姿勢を目指します。
例えば、人前で話すことが苦手だと考える人は、「人前ではしっかりと話すべき」という考えに「とらわれ」ています。
こういった「人前ではしっかりと話すべき」という不可能な「とらわれ」を明確にして、コントロールできないものとして認めることが、生きる上での欲望に忠実な「あるがまま」の姿勢につながるのです。
森田療法についてさらに学びたい方は生活の発見会へ!
同じように神経症などに悩んでいる人や、悩みを克服した人と一緒に森田療法を学んだり、つながりを持つことができる自助グループが「生活の発見会」です。
「生活の発見会」について説明します。
生活の発見会とは?
「生活の発見会」とは、森田療法を学びながら、神経症からの克服を支援するメンタルヘルスの自助グループです。
1970年に発足し、1998年には第50回保健文化賞を受賞、2005年には特定非営利活動法人として東京都より認定されています。
神経症に悩める方に森田療法について学ぶ機会と、共感と理解に基づく安心の場を提供し、人間的な成長を目指すというビジョンを掲げています。
森田療法でより良い生活を目指していくという考えに共感する方なら、誰でも参加することができます。
再発の予防、備えとして、薬物療法と並行して新たに森田療法を学ぶことをおすすめします。
生活の発見会の活動
「生活の発見会」では集談会や、月刊誌の発行、基準型学習会などさまざまな活動を行っています。
集談会では、全国約130ヶ所の会場で「交流会&学習会」を毎月開催し、実際に神経症を乗り越えてきた人が中心になって交流を行っています。
月刊誌は、会員や医師が寄稿した記事などを掲載した、会員ならだれでも参加できる双方向の機関誌です。
このように会員同士での相互啓発や学習、実践経験を会員間で共有していくことで、人間的な成長を目指しています。
その他にも、初心者向けの懇談会、大勢が集まる場所は行きづらい方むけの個人相談、医師も交えての心の健康セミナー、オンライン学習会などさまざまな活動を行っています。
お悩みの方はまずは初心者懇談会や個人相談(有料)へ!
「生活の発見会」は誰でも参加することができます。
心のお悩みを抱えている方は、まずは初心者懇談会や個人相談へのご参加はいかがでしょうか。
初心者懇談会は、会のことを知りたいという方や、入会して間もない方むけに、東京、大阪、福岡、オンラインで実施しています。
また、個人相談は、東京都の本部での面談や、電話での相談も可能です。
気軽に参加できるので、ぜひご検討ください。
まとめ
当記事では、森田療法と森田療法における「あるがまま」の姿勢について解説をしてきました。
「あるがまま」の姿勢とは不安を自然な感情として受け入れ、同時に不安の片面である生の欲望に従って建設的な行動をする姿勢のことを指します。
「あるがまま」の姿勢によって、不安や症状に向けられていた意識を、建設的な行動に向けて改善していくような療法です。
もし、神経症に悩んでいるのであれば「生活の発見会」がおすすめです。
気になる方はぜひ下記フォームからお問い合わせをしてみてください。
また、自分が神経症かもしれないと悩んでいる方は、下記のセルフチェックシートで自身の症状をチェックしてみましょう。