身体症状症とは?治った体験談をご紹介! 症状や原因、治療法についても解説!
不安が続く様々な症状の一つに、身体のちょっとした違和感を気にしすぎて身体症状にとらわれる症状があります。
ある時、身体症状が現れたことがきっかけで、その症状が重い病気ではないかという不安が続くようになります。
このような身体に現れる症状を過度に心配し、病気にかかっているのではないかといつも不安に思っている症状は身体症状症と呼ばれています。
身体症状症では、ちょっとした体の不調や誰でも感じるような不快な身体の感覚や、眠れないことなどにとらわれます。
身体症状症の特長は、病気や異常がないにも関わらず、様々な症状に悩まされ、その原因の追究に時間やエネルギーを過剰に費やします。
身体症状症の人は、生活に支障が出るのを恐れて、検査を受けて病気ではないといわれても、病院を渡り歩いたり、検査を繰り返したりします。
検査を行い、原因や病気が見つからない場合に診断が下されますが、本人は精神的なものだという自覚がないのが特徴です。
身体症状症では、身体の不調から始まって、自分は病気ではないかと何となく不安を感じるようになり、身体症状の不調感に常に意識が向いた状態になります。
物事に集中することが難しくなってしまい、会話がうわの空になったり、仕事ができなくなってしまうなど日常生活に大きな支障が現れてしまうこともあります。
日常的に、多様な媒体から様々な身体症状の不調改善に役立つような情報や広告が、山のように目に入ってきます。
それだけ多くの人が身体症状の不調に悩み、解決策を求めていることがわかります。
しかしながら、身体症状症の悩みに困りながらも、自分の身体症状の悩みは特別と感じ、自分の弱さを示すようで誰にも相談できず、長い時間を費やしてしまっている人が少なくないと考えられます。
また、身体症状症の人は、精神科での治療を受けるように勧められると気分を害してしまうこともあり、周囲の人もどう対応すればいいか困惑していることがしばしばあります。
このコラムでは、身体症状症の症状や原因や治療法を解説します。
また身体症状症が治った体験談も紹介します。
身体症状症とは?
身体症状症とは、身体的な異常がないのに様々な症状に悩まされ、重い病気なのではないかという不安が続くなど、身体に症状が現れるような状態です。
身体症状症の人は、診察を受け、検査結果に異常が認められず、医師から病気ではないと言われているにもかかわらず、繰り返し身体症状を訴えたり検査を繰り返したりします。
身体症状症では、普通にある身体感覚を異常なものとしてとらえることがしばしばあります。多くの場合、身体の一つか二つの器官にのみ注意が集中しています。
また、心配な症状について最悪の事態を考える傾向があります。症状自体または症状に関する過度の心配により苦痛が生じたり日常生活に様々な支障を生じさせたりします。抑うつ状態になる人もいます。
身体症状症になると、他者に助けてほしい、感情的に支えてほしいと思いつめ、自分の欲求が満たされていないと感じると怒りの感情を持つこともあります。医師が安心させようとすると、しばしば自分の症状を真剣に受け止めてくれないと考えます。診療の内容に不満を抱くことも多く、典型的には医師から医師へと渡り歩いたり、同時に複数の医師に治療を求めたりします。
多くの場合、治療が効かず、治療をしたことで症状が悪化することさえあります。薬剤の副作用に異常に敏感になる人もいます。
身体症状症の具体例
身体症状症では、全身のあらゆる部位が心配の対象となります。
身体症状症の典型例は、不眠症です。夜になると眠れないのではと恐怖に襲われます。眠れなかったらどうしようと思えば思うほど、眠れない恐怖がつのります。夜眠れないので昼間少しでも眠ろうと努力します。
四六時中、どうしたら眠れるかばかりを考え、色々試してみても不眠はひどくなります。
別の具体例に、胃がんの可能性にとらわれて、医師が大丈夫と説明しても安心できず繰り返し胃カメラの検査を求めるような場合があります。
また、身体の冷えにとらわれる身体症状症があります。たまたまエアコンで体が冷え過ぎて体調を崩したことがきっかけで、体が冷えてだるくなると家事や仕事が思うようにできなくなってしまうと思い込むようになり、エアコンが効いた場所に行けなくなってしまうといった、日常生活に支障を来す身体症状症の例があります。
ほかにも、身近な人の死がきっかけで病気を恐れるようになる身体症状症もあります。身近で亡くなった人がかかっていた病気に、自分もかかっているのではないかと気になって検査を受けたりします。そして、
身体にちょっとした違和感があると病院に行くなど、注意がいつも身体に向いた状態になります。
身体症状症の症状は、この他にも、めまいや立ちくらみ、頭重感、頭痛、腹部の膨満感、疲労感、手や四肢や体の震え、身体の圧迫感、胃腸の不調感、食欲不振、身体のあらゆるところに出没する慢性的な痛み、違和感、不快感、一部の性的不能、頻尿恐怖など、数えきれないほどの様々な症状があります。
身体症状症の原因
身体症状症にはいくつかの原因が考えられます。
人は、一生のうちで何度も環境の変化を経験したり、年齢に応じて体の変化が起きてきます。その変化に柔軟に対応できれば問題なく過ごせますが、人によっては心のバランスをくずすことは少なくありません。
変化を乗り越えなければという気持ちから不安が生まれ、頑張りすぎて重荷になってしまうことがあります。
様々な変化が起きると一時的な反応として、不安や緊張、焦りを感じてしまうことは多くの人が経験します。
しかし、このような不安や緊張、焦りなどを、人間の当然の反応として受け止めず、自分に問題があるために不安になってしまうのだと否定的に思い悩む場合があります。
このように思い悩む背景には、人はどんな状況でも不安のない万全な状態でいなければならないという考えがあります。
そのような考えが強いと必要な行動にエネルギーを費やすかわりに、不安のないスッキリとした気分を得ることにエネルギーを費やすようになります。
環境の変化にさらされて、普段以上に緊張したり敏感になったりすることがあれば、一時的に身体の不調や違和感などの身体症状に悩まされることは誰にでもよくあることです。
しかし、身体症状症が起こる時は、その症状を過剰に深刻に受け止め、健康不安や死の恐怖を感じます。
視野狭窄の状態になり、健康不安や死の恐怖を完全に払しょくすることに注意が向き、検査を繰り返すなどの行動をすればするほど、健康不安、死の恐怖ばかりを考える悪循環に陥ってしまいます。
身体症状の裏には、不安にとらわれている心があります。自然な身体の機能を自分の弱点だと思い込み、気にし過ぎる結果、ますます身体症状が強くなっていきます。失敗したらどうしようと心配になり、
身体に注意が向き、ささいな身体の徴候に注目することでかえって症状を作り出しているのが身体症状症です。
身体症状症になりやすい人の特徴
身体症状症で悩む人には特徴がみられます。
身体症状症では、様々な形で現れる症状を過剰に心配し、その心配を完全になくそうとするための行動を繰り返します。
不安や恐怖といった不快な感情は誰にとっても嫌なものですが、同時にそれらは生きている限り避けられない自然な感情でもあります。
しかし、身体症状症に陥る人は、完全でありたい欲求が強いためにこうした不快な感情を排除してから物事に取り組もうとします。その姿勢がかえって不安や恐怖にとらわれる状態を作り出してしまいます。
身体症状症に悩むのは現代人だけでなく、100年前の日本にも強迫症(強迫性障害)の症状に悩む人が多くいました。
それらの悩みに対して、独自の精神療法を編み出したのが森田正馬でした。
森田療法を生み出した森田正馬は、神経質な性格の人が不安や緊張を人一倍強く感じ、症状にとらわれやすいと提唱しています。
具体的には、下記のような特徴があります。
・内向的で自己内省的
・心配性で傷つきやすい
・完璧主義・負けず嫌い
強気な面と弱気な面を併せ持つ性格は、小さなことを気にしてしまう弱気な自分を許せずに、葛藤しやすいタイプだと考えられています。
困難に見舞われたときに敏感に反応してしまい、不安や恐怖はあってはならないものと考えたり、完璧な安心を求める性格も、身体症状症に悩みやすい人の特徴です。
身体症状症が治ったという方の体験談
日常生活に支障を来すほどのたまらない不安を感じる身体症状症は、治せない症状ではありません。
実際に森田療法で身体症状症が治ったという方の体験談をご紹介します。
【体験談】
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身体症状症の不眠症に悩んでいたこちらの体験者は、生活の発見会で学んだことが、単に症状の再発を防ぐというばかりでなく、自分を大きく成長させてくれていることを知ったということです。
身体症状症の主な治療法
身体症状症を治すには、どのような治療法があるのでしょうか。
薬物療法と精神療法について解説します。
薬物療法
薬物療法では、不安を和らげる効果のある薬剤を用います。
服用することで不安を軽減させ、必要な行動がしやすくなるための手助けをします。
薬による治療で改善が感じられないときには、精神療法を検討します。
森田療法などの精神療法
身体症状症の治療には、精神療法が有効であるといわれています。
精神療法には、不安や恐怖の原因に直面させる「暴露療法」や、不安を感じやすい認知の歪みを改善していく「認知療法」などがあります。
また、精神療法の一つである「森田療法」も身体症状症の改善に効果が期待できるといわれています。症状が重い場合は入院療法、そうでない場合は外来療法で治療をします。
入院療法では、下記4つのステップで社会復帰を目指します。
1. 心身を休めながら自分のとらわれや不安と向き合う
2. 一人で簡単な作業
3. グループでの作業
4. 社会復帰
一方で、外来療法は日記指導が中心の治療法です。
その日の行動を日記に記載し、不安や感情を自分なりに受け止めていこうとする態度を助長します。
どの精神療法が適切なのかは人により異なるため、医師に相談するようにしましょう。
その他、自助グループとして、森田療法を学びながら、神経症からの克服を支援する「生活の発見会」があります。
抑うつ神経症でお悩みの方は生活の発見会へ!
同じように神経症などに悩んでいる人や、悩みを克服した人と一緒に森田療法を学んだり、つながりを持つことができる自助グループが「生活の発見会」です。
生活の発見会とは?
「生活の発見会」とは、森田療法を学びながら、神経症からの克服を支援するメンタルヘルスの自助グループです。
1970年に発足し、1998年には第50回保健文化賞を受賞、2005年には特定非営利活動法人として東京都より認定されています。
神経症に悩める方に森田療法について学ぶ機会と、共感と理解に基づく安心の場を提供し、人間的な成長を目指すというビジョンを掲げています。
森田療法でより良い生活を目指していくという考えに共感する方なら、誰でも参加することができます。
再発の予防、備えとして、薬物療法と並行して新たに森田療法を学ぶことをおすすめします。
生活の発見会の活動
「生活の発見会」では集談会や、月刊誌の発行、基準型学習会など様々な活動を行っています。
集談会では、全国約130ヶ所の会場で「交流会&学習会」を毎月開催し、実際に神経症を乗り越えてきた人が中心になって交流を行っています。
月刊誌は、会員や医師が寄稿した記事などを掲載した、会員ならだれでも参加できる双方向の機関誌です。
このように会員同士での相互啓発や学習、実践経験を会員間で共有していくことで、人間的な成長を目指しています。
その他にも、初心者向けの懇談会、大勢が集まる場所は行きづらい方むけの個人相談、医師も交えての心の健康セミナー、オンライン学習会などさまざまな活動を行っています。
お悩みの方はまずは初心者懇談会や個人相談(有料)へ!
全国で毎月1回開催される「集談会」は誰でも参加することができます。
心のお悩みを抱えている方は、まずは集談会への「お試し参加」はいかがでしょうか。
気軽に参加できるので、ぜひご検討ください。
心のお悩みを抱えている方は、まずは初心者懇談会や個人相談へのご参加はいかがでしょうか。
身体症状症が治った体験談と原因、症状、治療法などについて解説しました。
身体症状症は、誰にでもあるような身体症状にとらわれ、気にしすぎる結果、ますます身体症状が強くなり、日常生活に支障を来してしまう症状です。
しかし、実際に森田療法で症状を克服した方もいらっしゃるため、決して治せない症状ではありません。もし、身体症状症に悩んでいる方が周りにいる場合は、
「生活の発見会」がおすすめです。
参考文献
実践 森田療法 北西憲二 講談社
森田療法のすべてがわかる本 北西憲二監修 講談社健康ライブラリー
よくわかる森田療法 中村敬 主婦の友社
新時代の森田療法 慈恵医大森田療法センター 白揚社
外来森田療法 市川光洋 白揚社
症状別体験記シリーズ② 生活の発見会