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うつ病とパニック障害は併発する?関係性や治療方法も解説

うつ病とパニック障害は、併発しやすいといえます。
この2つの疾患を併発すると、症状が悪化する可能性が高く、適切な治療が必要になります。

「うつ病とパニック障害の両方を発症しているかもしれない……」と不安を抱えているのであれば、本記事でそれぞれの疾患についての理解を深めましょう。
2つの疾患の関係性や自分に合う治療方法がわかれば、不安が和らぎ、気持ちが楽になるはずです。

神経症を根本的に克服したい方へ

NPO法人生活の発見会は、医療機関でないため、薬を使わず根本的に神経症(パニック・社交不安・強迫・不安症など)に対処する「森田療法」が学習できる自助組織です。

全国120の森田療法協力医と連携し、神経症でお悩みの方を支援しています。

以下動画では、森田療法について詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

NPO法人生活の発見会では、「森田療法」を学び、神経症(パニック・社交不安・強迫・不安症など)を乗り越えた人達が中心となり「森田療法」を学び合える集談会を開催しています。

集談会では、同じ悩みを持った人達の話が聞けるため”自分の苦しみを共有”することができます。また、神経症を克服した人の話も聞けるので、症状克服への知恵と力がもらえます。

集談会に参加することで、神経症克服の第一歩となるでしょう。

予約なく参加も可能ですので、ぜひお近くの集談会に「お試し参加」してみてください。


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うつ病とパニック障害の違い

うつ病とパニック障害には、心身に現れる症状や発症のトリガーなどが異なります。
具体的な違いを、以下へまとめました。

◆うつ病
【特徴】
気分障害の一種で、気分の落ち込みや意欲の低下が、日常生活に支障をきたすほど長期的に続く。

【主な症状】
・ひどく気分が落ち込む
・興味や喜びを感じられなくなる
・強い倦怠感を伴う
・睡眠障害が起こる(不眠や過眠)
・食欲が変化する(過食や減退)
・集中力や決断力が低下する

【トリガーの例】
・人間関係のトラブル
・引越しや転職など環境の変化
・喪失体験
・過労や睡眠不足
・病気や怪我
・ホルモンの変化

◆パニック障害
【特徴】
不安障害の一種で、予期せず強い動悸やめまいなどの身体症状を伴う、パニック発作が繰り返し起こる。

【主な症状】
・突然、激しい恐怖感や不快感を伴う発作が起こる(パニック発作)
・また発作が起こるという不安に常に襲われる(予期不安)
・人混みや電車の中などを避ける(広場恐怖症)

【トリガーの例】
・満員電車やエレベーターなど閉鎖された空間
・高速道路の渋滞やトンネルなどすぐに逃げられない状況
・駅や繁華街など人が多い場所
・過去のトラウマ

上記の表からもわかるように、うつ病の代表的な症状が“気分の落ち込み”なのに対し、パニック障害では“強い不安”を感じるという違いがあります。
また、ご紹介したトリガーが必ずしも発症の原因となるわけではなく、両者とも発症の明確な原因はわかっていません。

💡
和田秀樹先生のYouTubeチャンネルで「生活の発見会」が取り上げられました。

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うつ病とパニック障害の関係性

うつ病とパニック障害は、互いに影響し合う関係にあるといえます。
違いはあるものの、両者には共通する要素もあり、片方の症状が引き金となってもう一方の疾患を引き起こすケースも少なくありません。

たとえば、うつ病の症状である不眠や過労が神経を敏感にさせ、パニック発作が起こるリスクを高めるということが挙げられます。
また、パニック発作が繰り返されると「また発作が起こるのではないか」という予期不安が強くなり、人との交流や外出を避けるといった行動につながります。
その結果、社会的に孤立して生きがいを感じられなくなり、うつ病を発症してしまうのです。

こうした状況から、うつ病とパニック障害が併発した状態を一つの症状として捉え、“パニック性不安うつ病”とよぶ場合もあります。
両者は密接に関係しており、悪化を防ぐためにも早めに治療を開始することが重要です。

うつ病かどうかを確認する方法

早期の治療が重要とはいえ、ご自分の状態を正しく把握するのは難しいものです。
しかし、うつ病を発症しているかどうかは、簡易的な方法で確かめられます。
以下の項目に該当するものが多い場合、うつ病を発症している可能性が高くなります。

【うつ病のセルフチェック項目】

  • 気分の落ち込みがほぼ毎日、2週間以上続いている
  • 興味や喜びをほとんど感じられない
  • 強い疲労感が続き、何をするにも億劫に感じる
  • 集中力や判断力が低下している
  • 罪悪感や自分には価値がないと感じる
  • 睡眠に問題がある(不眠/過眠)
  • 食欲の変化がある(過食/減退)
  • 動きや話す速度が遅くなった、または落ち着かない
  • 将来への希望を持てず、悲観的な考えにとらわれている
  • 死について繰り返し考える

なお、これはあくまでも自身の状態を知るためのチェックリストであり、うつ病を診断するものではありません。
少しでも気になる症状や当てはまる項目がある場合には、専門の医師に相談することをおすすめします。

パニック障害かどうかを確認する方法

うつ病と同じように、パニック障害を発症しているかどうかも、簡易的なセルフチェックによって確かめられます。
以下を参考に、継続的に起きている症状の有無を確認してみてください。

【パニック障害のセルフチェック項目】

  • 突然、動悸や息苦しさ、胸痛を感じることがある
  • めまいやふらつき、手足の震えなどを感じることがある
  • 発作時に発汗や吐き気を伴うことがある
  • 「死ぬのではないか」との不安に襲われる
  • 発作は10分以内にピークを迎えることが多い
  • 発作が繰り返し起こり、再発への強い恐怖がある
  • 発作への不安から、外出や人混みを避けるようになった
  • 特定の場所(電車、エレベーターなど)を避けるようになった
  • 発作時に「現実感がない」「自分が自分でない」ように感じる
  • 発作の原因がわからず、検査で異常が見つからない

パニック障害の代表的な症状でもある発作の有無や、発作が起きているときの状況などを想定したチェックを行うことで、自分の状態を把握できます。
頻度にかかわらず、気になる症状がある場合には、精神科や診療内科の受診を検討しましょう。

うつ病とパニック障害の治療方法

うつ病とパニック障害の治療方法は主に3つあり、これらを組み合わせることで相乗効果が期待できます。
それぞれの治療方法を、以下で見ていきましょう。

【うつ病とパニック障害の治療方法】

  • 認知行動療法
  • 薬物療法
  • 休養

認知行動療法と森田療法

うつ病とパニック障害の代表的な治療方法として、認知行動療法があります。
これは精神療法の一つで、「薬がなくても対処できる」という自己効力感を高めることが目的です。
自分の思考や行動の癖に気づき、それらを修正する力をつけることで、症状を繰り返してしまう悪循環を断ち切ります。

また、認知行動療法とは考え方が異なりますが、うつ病やパニック障害には、感情にとらわれずに自然の力で克服を目指す“森田療法”も効果的です。

森田療法では、感情をコントロールするのではなく、不安や恐怖と向き合いながらも自分自身が思うままに行動できるよう学習していきます。

あるがままの自分を受け入れ、心のあり方を変えるアプローチは、人間的に大きく成長するうえでも役立ちます。森田療法を学習するには自助組織生活の発見会があります。

「薬に頼りたくない」と感じている方は、認知行動療法や森田療法に取り組むのも一つの手です。

薬物療法

うつ病とパニック障害の症状を軽減するには、薬物療法も効果的です。
主に、抗うつ薬(SSRI)や抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)が使用されます。

抗うつ薬は、うつ病とパニック障害のどちらの治療にも中心的に用いられますが、即効性がなく、効果が出るまでには数週間ほどかかります。
継続的な服用が必要になり、中断すると症状が悪化する可能性もあるので、自己判断せずに、医師の指示に従うことが非常に重要です。

対して抗不安薬は即効性があり、強い不安やパニック発作を抑える効果が期待できます。
抗うつ薬が効果を発揮するまでの、初期段階で用いられるのが一般的です。
ただし、強い依存性が問題視されており、短期間での使用に制限されます。

薬物療法の効果を最大限に引き出すには、薬の種類や量について、医師と相談しながら進めていくことが大切です。

休養

うつ病やパニック障害の治療には、前述した認知行動療法や薬物療法とあわせて、適度な休養も不可欠です。
これらの発症には、心身の過度な負担が影響しており、ストレスや疲労が積み重なると症状を悪化させてしまいます。
仕事や人間関係などの負担となっている要因から距離を置くことで、不安や緊張を軽減できます。

また、休養中は規則正しい生活を心がけることも大切です。
毎日決まった時間に起床し就寝する習慣をつけると、体内時計がリセットされ自律神経のバランスが整います。
一定の生活リズムを保つことで心身の状態が安定し、認知行動療法や薬物療法の効果を高めます。

休養は単に何もせずに過ごすわけではなく、心と体の回復を促し、症状を克服するために必要な治療なのです。

森田療法

病院で受ける治療以外の、パニック発作へのアプローチ方法としては、“森田療法”も挙げられます。

森田療法とは、精神科教授の森田正馬が生み出した日本独自の精神療法で、「あるがまま」を受け入れることで不安との共存を目指す方法です。
具体的には、以下の流れで行われます。

森田療法の流れ
臥辱期(がじょくき) 1週間程度寝たきりになり、食事や洗面以外の気晴らしをしないことにより、自身の不安や苦悩と向き合い、活動欲を自覚する
作業療法期・日記指導 さまざまな作業を通じて、事実に基づいてものごとを見て・考えて・行動することを学ぶ

なお、森田療法ではパニック発作そのものを改善することに焦点を置くのではなく、「恐怖や不安をどう受け止め、どう付き合っていくのか」という観点で考えます。
恐怖や不安に正面から向き合うことで、共存する方法を探るのが、森田療法なのです。

関連記事:森田療法はどんな治療法?治った体験談をご紹介! 基本的な考え方をわかりやすく解説!

パニック発作が治ったという方の体験談

パニック発作は、治せない症状ではありません。
実際に森田療法でパニック発作が治ったという方の体験談をご紹介します。

【体験談】

パニック症(パニック障害)、過呼吸や抑うつ症から森田療法で回復への第一歩(M.K・主婦)

私は、父は公務員、母は教員の堅実な家庭に育ちました。1歳半違いの妹がいます。家では親の言うことをよくきく大人しい子、外では人なつこく賑(にぎ)やかという子供でした。みんなに好かれていたいという気持ちが強かったように思います。 小学校高学年から胃がよく痛むようになり、中学のときに神経性胃炎と診断されました。高校生になると過敏性腸症候群の症状に振り回され、休み時間の度にトイレに通った時期もありました。

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パニック障害(パニック症)だった私が、森田療法に出会い〝運のいい人生〟と思えるまで T・Sさん、男性、元教員

私は幼いころから病弱で、2ヵ月ほど学校を休んだこともあり、病気には人一倍敏感でした。

パニック障害(パニック症)を発症したのは、教師になって12年目の春です。5年生のときから多くの課題を抱えていたクラスを、6年生から担当し、思った以上に悪戦苦闘の連続でした。

そんなある日の早朝、いつものように、仕事先に向かって車を運転していたところ、急に心臓の動悸が気になりはじめました。目の前が真っ暗になり、何とも言えない森田療法で言う「死の恐怖」が覆いかぶさってきました。「いったい何が起きたのか?」「ああっ、死んでしまう……」車のなかで、恐怖に押しつぶされそうになりながら、じっと耐え、動悸が収まったころ、すぐに隣町のA心臓外科病院に行きました。そして検査をした結果、心臓には異常はないと言われたのです。

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森田療法で不安症(不安障害)、パニック症(パニック障害)を克服 M.O 女性 キャリアコンサルタント

私が不安症(全般性不安障害)になったのは、長女の出産後でした。陣痛は長く、20時間以上かかりました。お産の直後に先生に「お尻まで裂けたので、縫いますね」と声をかけられて、麻酔もなく縫ってもちっとも痛くない。それほど陣痛はキツいものなのですね。でも、翌日からしばらくはその痛みで椅子に座ることもできませんでした。

生まれたばかりの娘は、病院でやっと母乳を飲ませても、すぐに吐いてしまう。看護婦さんに「この子ちょっと変よ」言われて、とても不安になりました。それでなくてもお産の後は、ホルモンの関係もあってか、精神的に不安定になります。

さらにそんな時に、会社に勤めていた時に一番沢山話をして、隣の席で仕事を教えてもらった先輩の男性が自殺したことを知ります。

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生活の発見会の活動

「生活の発見会」では集談会や、月刊誌の発行、基準型学習会などさまざまな活動を行っています。
集談会では、全国約130ヶ所の会場で「交流会&学習会」を毎月開催し、実際に神経症を乗り越えてきた人が中心になって交流を行っています。
月刊誌は、会員や医師が寄稿した記事などを掲載した、会員ならだれでも参加できる双方向の機関誌です。

このように会員同士での相互啓発や学習、実践経験を会員間で共有していくことで、人間的な成長を目指しています。

その他にも、初心者向けの懇談会、大勢が集まる場所は行きづらい方むけの個人相談、医師も交えての心の健康セミナー、オンライン学習会などさまざまな活動を行っています。

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うつ病とパニック障害は併発しやすい!気になる症状があれば早めに治療することが大切

うつ病とパニック障害は、心身に現れる症状や発症のきっかけとなるトリガーが異なるものの、互いに影響し合う関係にあり、併発しやすいといえます。

つらい症状が続いているにもかかわらず我慢すると、症状が悪化して改善が難しくなるかもしれません。
その場合は一人で悩まず、気になる症状があれば適切な治療を受けることが大切です。

現在うつ病やパニック障害の症状にお悩みなら、神経症からの克服を支援している自助組織NPO法人「生活の発見会」にお問い合わせください。

生活の発見会では、実際に神経症を経験し森田療法を学び症状を克服した当事者同士がその苦しみを共感し体験交流し合う、集談会を開催しております。

気軽に参加できるので、ぜひ一度お近くの集談会にお越しください。