森田療法が効果ある神経症の種類

森田療法では神経症は次の3種類に分類しています。
この分類は森田正馬が使用した名称で、森田療法を中心におく生活の発見会ではこの名称を使用していますが、現代の医療機関では、国際的に普及している診断名で告げられることが多いので、対比できるように()内はその診断名を記載しています。

1)強迫神経症(強迫症あるいは強迫性障害)

2)不安神経症(不安障害あるいはパニック障害)

3)普通神経症(身体症状症あるいは病気不安症)

  • 強迫神経症
    (強迫症あるいは強迫性障害)

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    ある感覚・感情を排除しようとして起こってくる葛藤状態を強迫神経症といいます。対人恐怖症もこれに含まれます。
    普通に生きている人間は、日常生活する上で、常時様々な感覚や気分あるいは観念を味わいながら生きていますが、これをふっと邪魔と考えて異物視し、排除しようとすればすべて神経症の症状になり得ます。従って日常生活のあらゆることが強迫神経症になると言っても過言ではありません。

    例えば、健康な人はいつも雑念が浮かぶものですが、この雑念を異物として排除しようとすれば、雑念恐怖症になるし、時には誰でも自分の鼻が見えることがありますが、自分の視界にそのようなものが入ってきては邪魔になると考え、見えることを排除しようとすれば鼻尖恐怖症になるのです。それはとても常人には理解できないような突飛で滑稽な症状にも発展する可能性があります。

    強迫神経症でもっとも多いのが、対人恐怖症(現代の医療機関の名称で社交不安症あるいは社交不安障害)ですが、これは人前であがったり、顔が赤くなり人に笑われたとか、人の視線を逸らすと小心と思われるのではないかなどと気にして自分の視線のやり場に困ったりするなど対人関係の様々な訴えをするものです。
    そのほか、いつも病気に罹るのではないかを気にする疾病恐怖、手にばい菌や汚いものがつくのではないかと恐れて過剰に手を洗わなければ気がすまない不潔恐怖、家のカギやガス栓の閉め忘れなどを気にして何度も確認しなければ気がすまない不完全恐怖など、およそ日常生活で本人が気にするあらゆるものが強迫神経症の対象になり得ます。
    そのほかにもよく知られた強迫神経症には次のようなものがあります。
    雑念恐怖、卒倒恐怖、罪悪恐怖、確認恐怖、不潔恐怖、読書恐怖、体臭恐怖、縁起恐怖

  • 不安神経症
    (不安障害あるいはパニック障害)

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    不安発作とそれに対する予期恐怖が主な症状で、文字どおり精神的な不安が前面に出てくる神経症です。例えば心臓の脈拍が早くなり、今にも死にそうな恐怖感に襲われ、あわててパニック状態となり、救急車を呼んで病院に担ぎこまれますが、 病院に着くころには落ち着いてきて、医師が診察してもどこも異常がなく帰宅します。しかしまた同じような発作が起きるのではないかと予期恐怖が起こり、一人では外出が困難になってしまいます。特に電車や飛行機など発作が起こっても助けを呼ぶのが困難な乗り物の中で発作を起こすことが多く、乗り物に乗るのが困難な乗り物恐怖が代表的な症状です。
    また呼吸困難発作に襲われ、外出が出来なくなる症状も心臓の場合と同様な乗り物恐怖です。この不安神経症を起こすような人は、日頃から健康に自信があり、社交的で活動的な人に多い傾向があるようです。
    不安神経症の種類にはほかにも、高所恐怖、閉所恐怖、先端恐怖、動物恐怖などがあります。

  • 普通神経症
    (身体症状症あるいは病気不安症)

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    内科的な異常がないのにも関わらず身体症状に悩まされる神経症で、自分にとってマイナスと考える心身の状態にこだわり、それを取り去ってより良い生き方をしようとする願望をもつため、ますます身体症状にとらわれ、症状を強くしてしまいます。
    例えば不眠神経症は、眠れないと翌日の仕事や活動に影響を来すため、必死に眠ろうとしますが、眠ろうと思えば思うほど眠れなくなり、葛藤が深くなります。そして日中の活動中も眠れないことによる身体症状を気にして不眠のことが意識から離れなく、しまいには、夜が来るのが怖くなることさえあります。
    普通神経症は、他には頭痛、もうろう感、胃腸神経症、目まい、疲労感、頻尿など、およそ身体に関するものは、注意が集中すればあらゆるものが症状になり得る性質をもっています。
    以上、三種類の症状は、起こってくる精神的なからくりは共通しており、乗り越える方法は同じで森田療法の対象となります。

  • 症状の現れ方と森田療法の応用

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    症状の表面的な現れ方は、各人によって千差万別です。その人が何を気にするかによるので、症状としては数限りない種類があると言っても過言ではありませんし、またこの三種類の症状を合わせ持っている人もいます。例えば、電車の中で倒れることを恐れる同じ乗り物恐怖でも、死ぬのではないかと恐れるのは不安神経症であるし、倒れたら周りの人に恥ずかしいという恐怖が強い人は、対人恐怖症の傾向もあります。

    なお近年では、「生の欲望」が強い神経質だけでなく、神経質の要素をもっている慢性化したうつ病やアトピー性皮膚炎、慢性疼痛などの心身症に対しても森田療法的アプローチが施行され、大きな効果を上げています。
    また癌患者の精神療法としての「生きがい療法」なども森田療法の応用として有名であり、この考え方からすれば、一般の人が建設的な生き方を目指す精神健康法としても森田療法は有効な手段になり得るものです。

    日本では日本森田療法学会を中心に森田療法の様々な研究活動が行われ、日々発展し成果を上げていますが、さらに森田療法は世界的にも高く評価され、主な国の原語に翻訳されて知名度も高くなっており、国際森田療法学会も世界の各地で開催されています。

    ※残念ながら症状が重く日常生活ができない方、統合失調症、双極性気分障害、パーソナリティ障害、発達障害、てんかんの方には森田理論学習は有効ではありません。
    医師にご相談下さい。

    ※医師からそううつ病、うつ病という診断を受けた方の参加については、適否を一度医師にご相談ください。